Si Rose 2018/19/20/21  

Si Rose 2018/19/20/21

シローズ
生産者:Christian Binner クリスティアン・ビネール
アルザス地方/フランス)
品種:ゲヴュルツトラミネール 65%, ピノ・グリ 35%

人気のシローズの新しいヴィンテージが入りました。今回は 2018 から 2021 年までのアサンブラージュです。

バラのような=Si Rose と肝硬変=Cirrhose の発音が似ているため、肝臓が描かれたおなじみのラベルは変わりませんが、今回は 4 つの年の 4 種類のキュヴェを使って仕上げています。かなり複雑な組み合わせになっているので順に説明します。
まず、8ヶ月間マセレーション(後述)した2018年のキュヴェと8日間した2019年のものをブレンドしてリザーブしていたものが20%。さらに「ローラン」というグランクリュ畑の葡萄を8日間マセレーションした2020年のキュヴェが60%。このグランクリュ畑は2020年にクリスティアンが引き継いだそうです。あとの20%ですが、2021年はべト病が発生したためビネールの畑は被害を受けて収穫が激減しました。そこで例外的に友人のビオディナミ生産者のグランクリュ畑の葡萄を買い取りました。それを6か月マセレーションしたものが20%ということです。
これらをアサンプラージュして大樽フードルで熟成させました。とても複雑な構成のワインです。

瓶詰は、今年2022年の4月のイースタームーン(復活祭直前の満月)の日にされました。それは、月と関係するエネルギーや波動のポテンシャルが最高になる日だとクリスティアンは書いています。

構成こそ複雑ですが、はぼすべてグランクリュ(特級)畑の葡萄を使い、それぞれの年の葡萄の性格を吟味してマセレーションの期間を調整していることは一貫していて、クリスティアンのこだわりを感じます。

昨年のものと同様に濃いオレンジ色の色合いで少し濁りがあります。
鼻を近づけると薔薇、フランボワーズ、白桃、グレープフルーツの皮、ダージリン紅茶、コリアンダー等々の香りが混じりあい複雑ですが、全体的に穏やかで癒される香りがします。
口に含むと白桃、ライチー、イチゴ、グレープフルーツ等様々な果実の果肉のニュアンス、ダージリン紅茶、硬質のミネラル、スパイシーで程よい渋みのタンニン等々、時間が経つほどにより複雑な旨みが出てきます。
アフターにはやはり紅茶やオレンジの皮などのテイストが長く残ります。

合わせる食事はおつまみ系から、魚、肉のメイン料理までオールマイティーですが、中華等の香辛料を使ったスパイシーな料理にも負けません。いろいろな食材が混じる日本の食卓にもピッタリです。
是非、お試しください。

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オレンジワインについて、ご参考までに以前に載せた記事を再掲載します。

オレンジワイン。正式には「マセレーション(マセラシオン(仏))した白ワイン」という言い方をします。
色を見ると白でもなく赤でもロゼでもなく、オレンジ色に近い感じです。このような色になるワインを総称して、オレンジワインと呼んでいます。オレンジの果汁を発酵させているわけでも、赤ワインと白ワインを変にブレンドさせているわけでもありません。

使っているブドウは白ワインを造る白ブドウ品種です。
通常白ワインを造るには収穫後すぐに葡萄を圧搾して果汁だけを取り出して発酵させますが、圧搾せずに果皮・種を果汁と一緒に漬け込んで、果皮・種の色や成分も抽出させる方法を、マセラシオン(=漬け込む)といいます。その期間を長くとるこで、皮の色がついてオレンジ色になるわけです。
実はこのマセラシオン、本来は赤ワインの製法です。このように果皮を漬け込むことによって赤い色が出てくるのです。つまり端的にいえば、白ワイン用の葡萄を赤ワインの製法で醸造したものがオレンジワインだということになります。

ブドウの果汁も種も皮も一緒にした状態でかなりの長時間、酸素の下に置いておくと、皮や種から色だけでなく様々な成分が抽出され、結果的に、フルーティーというよりもスパイシーであったり、酸化のニュアンス(シェリーっぽい)も出て、濃縮感のある、複雑な味わいのワインになります。それに加えて、醸し(漬け込み)の作業をしている間に、ワインの酸化を防ぐ物質である硫化物ができるため、長期保存可能にもなるのです。