Chaos 2019  

Chaos 2019

カオス
ネゴシアンDu Vin aux Liens ドゥ・ヴァン・オー・リアン (Vaneesa Letort ヴァネッサ・ルトール)
生産者:Domaine La Table Rougeドメーヌ・ラ・ターブル・ルージュ (ロワール地方/フランス)
品種:カベルネ・フラン 100%

ヴァネッサのブランド、ドゥ・ヴァン・オー・リアンがリリースするロワールの赤ワインをご紹介します。

ヴァネッサはロワール地区のアンボワーズの醸造学校でワイン醸造とマーケッティングを学んでいたのですが、その時の先生が、このワインの生産者のフィリップ・シガールです。
ロワール河畔、有名なお城のあるアンボワーズの対岸に位置するナゼル=ネグロン村にある、彼とそのパートナーであるクロードの畑は、たった80アールのごく小規模なものです。なので自家消費か地元に出まわるだけのワインしか造っていなかったのですが、ヴァネッサのつながり"Liens"のおかげで、我々もこのすばらしいカベルネ・フランを楽しむことができることとなりました。

畑の土壌はシレックス(火打石)と青粘土で、有機栽培の畑の手入れはすべて馬で行っています。彼の畑とその周辺にはリンゴ、桃、プラム、アーモンド、ラベンダーや小さな果物など、さまざまな種類の木が植えられています。
フィリップとクロードのプロジェクトはワインにとどまらず、「ワインガーデナー」として、化学農法によって瀕死の状態の土地の景観と生物多様性の回復を目指しています。

葡萄は収穫後除梗され、15 日間のセミ・マセラシオン・カルボニック方式で発酵の後、プレスされ、樽の中で澱とともに 10 ヶ月間熟成させています。

色は濃いガーネット、サクランボや木いちご、スミレの香り。
口に含むといちごなどの赤果実系の味わいに心地よい酸がのり、ほのかなタンニンとのバランスも良く、シレックス土壌の軽快なミネラルが味わいを引きしめています。
アフターも果実系の風味が長く持続します。

合わせる食のアイデアとしては豚、鶏のグリル、ラムのロースト等のシンプルな肉料理がいいのではと思います。
また、シェーブルチーズとも相性がいいのではと思います。

ここで少しカベルネ・フランという品種について書いておきます。
カベルネ・フランは有名なカベルネ・ソーヴィニヨンの祖先にあたる品種といわれ、古くからフランスを中心に栽培されてきました。ボルドー地方ではカベルネ・ソーヴィニヨンの補助品種として使われることが多く、脇役的イメージが強いのですが、ロワール地方では主役的な品種でこのワインのように 100%で作られることが多いのです。
一般にカベルネ・フランはパワフルなソーヴィニヨンに比べ果実味豊富でよりデリケートな味わいが特徴といわれます。
近年世界中でカベルネ・フラン種を主体とするワインがが注目を集めています。それはワインに合わせる食文化が、伝統的フランス料理を基準とするものから、世界の多様な食文化へ、という傾向が世界中に浸透してきていることと関係があるのではないかと思っています。

この完熟した葡萄で醸された秀逸なカベルネ・フランを、是非味わっていただきたいと思います。