ドメーヌ・モン・ド・マリー
Domaine Mont de Marie
ドメーヌ・モン・ド・マリー
スヴィニャルグ,ラングドック,フランス
ティエリー・フォレスティエは、コンピューター技師から醸造家に転身した、異色の経歴の持ち主です。
南仏ラングドック地方のニームの北西の小さな村、スーヴィニャルグ村に居を構えます。
この村には、マスローのローラン・バニョールをはじめ、自然なワイン造りをする若い醸造家が数人いて、協力し合ってワイン造りをしています。
ティエリーは、パリで働いていた頃からヴァン・ナチュールの大ファンでした。やがて都会のコンクリートの中でコンピューターと向きあって一日中仕事をする生活に疑問を感じるようになり、自分が思い描くようなワインを、自分の手で造ってみたくなりました。彼の理想のワインとは、グイグイ飲めるような軽くて優しく体に沁み渡っていくようなワイン。しかも誰もが毎日飲めるような価格帯のワインでした。
そんなワイン造りに適した土地を探して、スヴィニャルグ村にたどり着きました。
そこにはアラモン、サンソー、カリニャンの古木が沢山残っていました。濃いワインの流行から取り残された地域ゆえに、昔ながらの品種の木がそのまま残っていたのです。ティエリーにとっては、理想とするワイン造りにうってつけの土地でした。土壌はマルヌと呼ばれる泥灰岩質で、塩っぽいミネラルを多く含みます。彼は即決断し、2004年からそこでワイン造りを始めました。
やがてローランら彼と考え方を同じくする若者たちもやってきて、ここでワイン造りを始めるようになりました。
2014年の春、ティエリーとカーブを共用していたローランにも連絡を取って、初めて二人を訪れました。
スーヴィニャルグ村は想像していた以上に小さくて、鄙びたところでした。古いカーブで二人は持っていてくれました。すぐに三人で畑を見にいきました。
この地方特有の赤い土壌に、泥灰岩の大きな石がごろごろしている畑。そこに見事なサンソーやアラモン、ウイヤードなどの古木が植わっていました。畑はほとんどが北向きの斜面にあり、真夏でも中央山塊から涼しい風が吹いてきます。この条件は、暑い南の地でもワインに適度の酸を乗せるのに好ましいものです。
ティエリーは、IT技師然りの、明快で論理的な話しぶりをする人です。カーブでテイスティングした彼らのワインは、軽快で果実味に富み、また、しっかりしたミネラルも感じる、驚くほどの質の高いものでした。二人とすぐに取引の約束をしました。
それから数年、彼らのワインは、それぞれの個性を発展させながら、益々進化しています。