Jean-Louis Tribouley

ジャン-ルイ・トリブレ

Domaine Jean-Louis Tribouley

ドメーヌ・ジャン-ルイ・トリブレ

ラトゥール・ド・フランス,ルシヨン

ジャン-ルイと彼のワインに出会ったのは、アルザスで2年に一度開かれるサロン・デ・ヴァン・リブレSalon des vins libres。2008年ころでしょうか。その頃私はアルザスやロワールのワインを好んで飲んでいたのですが、ジャン-ルイのワイン、特に赤ワインを飲んだ時に、パンチのきいた濃い南系のワインながら、ピュアな果実味もたっぷりあるそのバランス良さに驚きました。それ以来、サロンを訪れるたびに、彼のワインを買って飲むようになりました。コーパン、アルバなどの赤が特に気に入っていました。あまり派手な印象はありませんが、じっくり味わうと果実味、ミネラル、控えめなタンニンの絶妙のバランスが取れた、旨さがじわじわと感じられてくるワインたちは、ジャン-ルイのキャラクターそのもののようです。

ワインの仕事をするようになってから、是非彼のワインを仕入れたいと思っていたのですが、なかなかタイミングが合わずにいました。

2018年、ペルピニャンで開かれるサロン、アンディジェンヌIndigénesに行ったとき、アポイントを取って、彼のドメーヌを訪問しました。

ペルピニャンから西に向かって車を走らせると、左手に雪を冠したカニグー山が見えてきます。カニグーを背にして峠を越えると、彼のドメーヌがあるラトゥール・ド・フランス村にたどり着きました。

出迎えてくれたジャン-ルイは、早速畑を案内してくれました。
彼の畑は、隣村にまたがって14haあります。どこも広々として、ピレネーからの風が心地よく通り抜けて、歩いていて気持ちがいいです。ほとんどの畑の土壌は、片麻岩(グネイスgneiss)の大きめの石がごろごろしている感じです。地中浅いところに、このグネイスの岩盤があるそうです。特に樹齢70年ほどのカリニャンは、ゴブレ方式に剪定されていて、印象深いものです。

最後に案内してくれた、
隣村にある”マルソー”というマカブーの畑が、また印象深いものでした。
土壌は他の畑と違ってシスト(片岩)で、ミネラルを多く含みます。ここは他の畑から隔絶した環境で、傾斜といい、回りの景観といい、素晴らしいところです。歩いていると、聞こえるのは鳥の声だけ。ジャン・ルイも、ここで仕事するのは本当に心地がいいと言ってました。ここで仕事をする彼を想像してみました。自然を敬い、隔絶したような大地に、溶け込むように働く。まさに典型的なヴァン・ナチュールの造り手の生き方です。

テスティングの後、村にあるビストロでお昼を奢ってくれました。「le coq à l’ame (雄鶏)」という名のそのビストロは、ワインショップも兼ねていて、スペイン人とフランス人の両親を持つ青年がやっています。入ってみて驚いたのですが、棚に並んでいるワインは全てヴァン・ナチュールで、ジャン-ルイをはじめ、馴染みの生産者のものも並んでいました。こんな田舎の小さな村のビストロが、パリにあってもおかしくないようなワインの品揃えなのです。ジャン-ルイにそのことを話すと、嬉しそうに「どうだいいだろう」と笑いました。聞いてみると、この村にドメーヌをおくヴァン・ナチュールの生産者は10人以上いて、エドワルド・ラフィット、ロイック・ルール、シルヴァン・レスポーと、ルシヨン地方を代表するような面々がいます。だから、地元の生産者のワインだけで、相当のレパートリーとなるのです。シンプルですが美味しい食事とワインを堪能して幸せな気分になりました。

その後、素朴で優しい彼の造るワインは、私たちのリストの重要なレパートリーとなっています。